「LET IT BE 」 50th Anniversary  THE BEATLES

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ビートルズ最後のライブ

ルーフ・トップ・セッション」といわれるゲリラ・ライブが行われのが、1969年1月30日のランチタイムだったそうです。
ポール・マッカートニーの呼びかけで始まった「ゲット・バック・セッション」の一部で、その後、映画とそのサントラ盤として1970年5月に公開されました。それが「LET IT BE」です。

多くの世代にファンを持つビートルズですが、大半の人々が、ビートルズを聴くきっかけになったのは、「リアルタイムにビートルズ来日公演などを知るファン」よりも、解散したあとの1970年以降であり、リリースされている様々なレコードからでしょう。私の周りの友人達の間では、ビートルズを知るきっかけなったのは、なんといっても、このアルバム「LET IT BE」です。
Two Of Us」のジョンとポールの仲よさげなデュエットで始まり、「Get Back」で唐突に終わる、このアルバムはライブ独特の高揚感があり、非常にカッコいいアルバムでした。このアルバムは、サントラ盤と言われるだけあって、当然ですが、映画があったわけです。
そして、「最近の気になるワードカウンター・カルチャービートルズが密接に関係している」ことを知り至り、当時のビートルズのメンバーが、映像で残っている映画「LET IT BE」を見てみたいと思い、作品を探すことにしました。

映画「LET IT BE」が見れない

でも、現在、どこのブロードキャストやレンタルビデオ店を探しても、映画「LET IT BE」のDVDなどの映像が見つからない状態です。いまは、まぼろしの映画となっています。
一説には、ビートルズのメンバーにとって、この映画が決して良い印象のものではなく、仲の悪さだけが目立ってしまい、分裂していくのを見せつける結果になってしまったことに嫌気がさして公開していないとか。
ジョン・レノンはこの時のセッションのことを振り返って「この世で一番悲惨なセッションだった」と言い捨てていました。
ということで、この映画「LET IT BE」は、版権もはっきりしないまま、お蔵入りしてしまっている状態ということです。

アルバム「Let It Be」も不満だらけ

先に書いたサウンド・トラック盤としてリリースされたアルバムの方も、2021年に逝去された変人の名プロデューサーのフィル・スペクターの独断で、彼お得意の「ウォール・オブ・サウンド」の手法を駆使して、オーケストラやコーラスなどをオーバー・ダビングすることによって、オリジナルの楽曲とはかけ離れたものになってしまい、アルバムの仕上がり具合や完成度は別にして、スタッフやファンから賛否を二分していました。

ポール・マッカートニーは、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」などのオーバー・ダビングが気に入らず、2003年に「LET IT BE NAKED」をリリースしてまさしく「裸」に近い音源で再編集して、今度は、「Get Back」で始まり「LET IT BE」で締めるという構成で、よりアコースティックな仕上がりになっています。2003年当時、33年前に発表されたアレンジが気に入らなくて作り直したということでも、ポールにとって、このアルバムは大切な1枚だったということがわかります。

そんなこんながあり、メンバーにとっても、ファンにとっても、最後期のレコーディングである「LET IT BE」の楽曲は、あまり良いイメージではないのでしょうか。
あの「ルーフ・トップ・セッション」の時のような、ロンドンの重たく冷たい曇り空をイメージしてしまいます。

「Get Back」が帰ってくる!

その映画「LET IT BE」の時の映像が、50年の時を経て、帰ってくるというではありませんか!

映画「ザ・ビートルズ:Get Back」は大ヒット作「ロード・オブ・ザ・リング」などで有名なピーター・ジャクソン監督のもとで「LET IT BE」で残されていた56時間の未公開映像などを再編集したもので、先に発表された予告編では、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴが笑顔に満ちて、活き活きとレーコーディングしている姿が見れた。旧作「LET IT BE」はビートルズの解散に至るドキュメンタリーとして描かれているのに対して、新作「ザ・ビートルズ:Get Back」では全く別の視点で、活き活きととアルバムを作る姿をライブ感覚で体験するエンターテイメント作品になるといわれています。

2021年8月27日に世界同時公開される「ザ・ビートルズ:Get Back」で再びビートルズが脚光を浴びることになるのは、いま、「気候変動」「COVID19」などをきっかけに世界中でSDGsを求め、社会が再生されるなかで、あらゆる局面で、カウンター・カルチャーの時代の思想が再評価されているのではないかと思うのです。

既成の文化を打ち破るようなパワーのあったあの時代の音楽、映画やファッションなどのカルチャーのあり方が、いま再び、人間らしさが失われていく、この混迷の時代に再び生かされるのではないかと思います。

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