この夏はフレンチ・リネンでアイビースタイルを

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夏はやっぱり麻素材が最高!フレンチ・リネンでフレンチ・アイビー

この夏も暑くなりそうです。暑い季節に最適な素材! それは、なんといっても麻素材です。

麻と言っても色んな種類があり、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)など、それぞれの特徴によって使われる用途が異なります。特に衣類や日用品に使われるのが、リネンやラミーといった比較的、繊維が細く短いモノが使われます。

その中でも、亜麻(Linen)は、亜麻科の植物で、天然の植物繊維になります。フランス語でリンネルとも呼ばれています。 1年草で淡紫色の5弁の花が咲き、実を絞ると良質の乾性油が採れます。茎の芯の木質部と表皮の間の靭皮(じんぴ)から繊維が作られます。

麻素材の歴史

麻素材の歴史は古く、紀元前8000年頃といわれており、人類最古の繊維といわれています。古代エジプトの遺跡から発見され、ミイラに巻かれている包帯に使われたり、日本でも伊勢神宮の神事や天皇即位の大嘗祭の衣裳など古来から使われています。

洋服に使われることが多いリネンですが、産地によっても種類があり、その中でも、特にヨーロッパでつくられるアイルランド産の「アイリッシュ・リネン」やフランス産の「フレンチ・リネン」が高級リネンの代表格です。

天然繊維最強の素材

リネンは、非常にしっかりとした素材で、古来から神事に使われることも多く、普通に100年以上に渡って使用されるモノがあるくらいです。加えて、水に濡れることでさらに強度が増す(反面、縮みやすくなりますが)という特徴もあります。植物系の天然素材では最強の素材といえるでしょう。

汚れにくい

リネンには、ペクチンという成分が含まれており、これが繊維をつなぐノリの役目をしていて、表面の汚れがしみにくく、落としやすい性質を持ちます。 それに抗菌性もあり、生地を清潔に保つことができるといわれています。リネンを着たときのパリッとした清涼感の秘密がここにあるのでしょう。

吸水・通気・保温に優れている

麻素材は、綿素材の4倍も吸水性に優れているといわれています。リネンの繊維の中は空洞で、そこに空気が含まれているので、サラッとした着心地が生まれます。また、吸水性だけではなく、発散性や通気性にも優れ、濡れてもすぐに乾くという特徴もあります。

なので、重ね着をする冬の時期は、この繊維の空洞の中に熱を保つことができるので温かく、日本では麻といえば、夏の素材と思われていますが、ヨーロッパでは春夏秋冬、通年で使用するのが一般的なようです。

それとデニムと同様に、年月を経て長い間使い込むことで、一層風合いを増していき、身体に馴染んでいくのがリネンの魅力です。

リネン=高級のイメージを破壊したユニクロ

ユニクロのいちばん凄いところは、素材への追求は半端ないところにあるのでしょう。

ユニクロをメジャーにした素材として、最も有名なのは1999年に作ったフリースです。当時1万円を超えていたフリースを1990円で売り出して話題になりました。それ以降も、カシミヤ、メリノ・ウール、セルビッチ・デニムなどで、ことごとく価格破壊を重ねてきました。

その中で夏向けの素材では、「プレミアム・リネン」を謳い、麻素材では、最高級のリネンで有名なフランス・ノルマンディ地方のメーカーに素材作りを依頼して、中国で紡績・パターン・縫製を一貫生産することで、なんと¥2990で作り上げてしまったのです。

当時、低価格の麻素材といえば、アジア産のラミーやジュートといったものが中心で、生地単価は、おおよそ¥700/㍍ほどでした。ところがリネンといえば、¥1500〜2000/㍍は、していました。大体、メンズのシャツを作ろうとしたら、少なくても2メートルは必要なので、生地代だけで売価を超えてしまうことになります。それを製品になった段階で2990円というのは、フリース以上の衝撃でした。

初期の頃のユニクロのリネンシャツ

いまでは、プチプラ製品になってしまった「フレンチ・リネン」ですが、決して安物のアイテムではありません。

リネン素材の押しアイテムは

麻で作られたファッション・アイテムは、昔からいろいろとあります。ジャケットやパンツ、スーツ、コートなどの重衣料と言われる外装に使われるものからシャツやTシャツなどのいわゆるインナー・ウェアがあります。

まず、おすすめしたいのは、インナー・ウェアであるシャツが良いと思います。
麻素材は、ご存知のように、シワがつきやすい素材です。この特徴は、長所でもあり、短所でもあります。

ジャケットやスーツの重衣料に使っているリネン素材は、生地がやや厚目なものが多く、一旦シワがついてしまうと見た目が重たくなってしまいがちです。それにくたびれた感じが出てしまって、逆に清涼感が表現しにくい感じです。

シワになりにくい加工として、「サンフォライズ加工」というものもありますが、それでも何回か着ているとシワがつきます。

それと比較すると、シャツ類に使われるリネンは、薄地のものが多く、シワが入っても気にならず、ザックリと着て入られます。

シャツなどに使われる薄地のリネン素材は、「デラヴェ加工」と呼ばれる洗い晒した風合いの加工を施したものが多く、元々のリネンが持つナチュラルでザラっとした素材感を出しています。ユニクロで作られているフレンチ・リネンのシャツもこの加工がされています。

シャツのデザインのいろいろ。

一口にシャツといってもいろんなデザインがあります。それじゃあ、リネンに合うシャツのデザインってどんなものでしょう?

レギュラーカラー・シャツはドレッシーなイメージ

ひとつめは、みんな大好き!ユニクロの「プレミアムリネンシャツ(長袖)」です。このシャツは発売当初からシルエットは若干変化していますが、基本的なディテールは変わらない、ある意味「トラディショナル」なデザインのシャツです。しかもドレッシーなシャツのデザインなのです。

詳しく解説すると、カラー(衿)は、レギュラーカラー
フロントのボタンを止める前立てと呼ばれる部分が、フレンチフロント(裏前立て)といって前端が内側に折り返したシンプルな目立たない形で、これがどちらかというとドレス・シャツで使われるディテールなのです。

裾部分はラウンドをゆるくして、外に出しても着れるようにしている今どきのデザイン。

後身頃のディテールでは、ヨークで切り替えて、肩位置に近い両サイドにプリーツを施しています。これもドレス・シャツの特徴です。

ですので、意外かもしれないですが、ユニクロのリネン・シャツのデザインは、ドレス・シャツを踏襲していて、とてもヨーロッパっぽいデザインといえます。

カジュアルっぽいデザインはアメリカンなデザインで

カジュアル・シャツの代表格は、「ボタンダウン・シャツ」ですね。 レギュラーカラーの衿先をボタンで止めたデザインは、アメリカン・トラッドの雄「ブルックス・ブラザーズ」が発明したものになります。

後身頃のディテールもヨーク切り替えは同じですが、プリーツをヨークの中央にボックスプリーツを施してます。脱いだときに、フック等に掛けやすいようにループが付けられているものもあります。

ボタンダウン・シャツは、ポロカラーシャツと呼ばれ、ポロ競技の選手から着想されて作られていて、スポーティーで、よりカジュアルな印象です。このシャツを発明したのがブルックス・ブラザーズ。なんとなく合理的で米国っぽいデザインといえるのではないでしょうか。

フランスにあったセレクトショップ「Harris」のリネンB/Dシャツ
フレンチリネン仕様を謳った「Gymphlex」半袖B/Dシャツ
代表的なB/Dシャツの後身頃のデザイン「ボックスプリーツ」

クラシックなワークウェアのイメージ。スタンド・カラーシャツ

クラシックなユーロ・ワークウェアなイメージを持つのが、スタンド・カラーのリネンシャツです。

写真は、ユニクロのシャツですが、レギュラー・カラーとこのスタンド・カラーは長年定番で作られています。シワの入った感じもサマになるデザインです。

ディテールを細かくみると、前立て部分は前端仕様になっていてカジュアルな印象です。後身頃のプリーツの取り方は、レギュラーカラー同様に両サイドになっています。

クラシックなワークウェアなイメージ

フランスの漁師が着ていそうなデザインのノーカラー・プルオーバーシャツ

ちょっと変わり種のデザインになりますが、ノーカラーで胸元にスリットが入ったプルオーバーシャツです。

麦わら帽子に7分丈のパンツなんか合わせるとぐっとリゾート感が増して、そのまま浜辺に行けてしまう感じになります。

「アダム&ロペ」のノーカラー・プルオーバー

このように、リネンを使ったシャツにもいろいろなバリエーションがあり、色んなシーンに合わせて着たいですね。

高級素材が誰でも手に入る価格に

ここ10年ぐらいの間に、高級素材だった「フレンチ・リネン」を代表とするリネン素材が、たった3000円程度で製品が手に入るというのは、つくづく良い時代になりました。(これはカシミヤも同様の話ですが、高級素材が誰にも手の届く価格になったのは、ユニクロがつくった功罪といっていいのでしょう)

蒸し暑い日本の夏に、高級素材であるリネンを気軽に楽しめるのは、世界広しといえども”日本だけ”といっても過言ではないと思います。
この夏は、良品廉価なリネン素材を着て、アイビースタイルを思いっきり楽しみましょう。

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