「これはうまい‼」小説のなかのでてくる料理

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コーンビーフのサンドウィッチ 村上春樹著 「風の歌を聴け」

読むだけで、食べたくなる文章。

本を読んでいると、時折、食事の場面が出てきて、そんなにくどくど食べ物について説明をしているわけではないのですが、その食事の情景が、ありありと浮かんでくることがあります。

その時の状況と出てくる料理が、とてもマッチしていて、読んでいるだけで、無性に食欲を刺激する文章ってありますよネ。

料理をうまそうに書く小説家は?

なんといっても、日本では池波正太郎氏、海外ではアーネスト・ヘミングウェイ氏でしょう。やっぱりグルメな人は基本、呑兵衛なんでしょうね。

そんな小説家の代表格のひとりとして、初期の頃の村上春樹さんの小説も、とても刺激的な食事に関する記述が多く見られます。

村上春樹の初期の作品は、ビールによく合う料理がでてくる

作家さんになる前は、国分寺で、「ピーター・キャット」というジャズ喫茶を経営して、自らカウンターのなかで調理もしていたと聞きます。そのときの影響があるのだと思います。

デビュー作の「風の歌を聴け」では、たびたび舞台となる「ジェイズ・バー」で出てくる飲みものや食べ物は、発表当時の1979年(舞台となったのは、1970年の神戸らしき街)で、なかなかおしゃれな食べ物が登場しています。

この小説のなかで、「僕」と友人の「鼠」の溜まり場となっている「ジェイズ・バー」の一場面で

「鼠」のいないジェイズ・バー。うんざりするような暑い夜。コーンビーフのサンドウィッチとビールを注文する「僕」。派手なワンピースの女が僕のひとつ隣にやってくる。グレープフルーツのような大きな乳房。ギムレットを注文し、長電話する。僕から小銭を借りて何度目かの電話。なかなか終わらない。僕は本を読むのをあきらめ、ビールを飲みながら野球中継をテレビで見る。暑い夜が続く。

「風の歌を聴け」 村上春樹 新潮文庫 P44

暑い夜に「コーンビーフ・サンドウィッチ」と「ビール」を一緒に注文するだけの場面なんですけど、その字面で、状況が浮かんできて食べたくなりますよね。

ここは、「コーンビーフ・サンドウィッチ」を作って、キンキン冷えたピルスナー系のスッキリとした「ビール」で流し込むことにしましょう!

コーンビーフ・サンドウィッチの超簡単レシピ

やっぱ!日本人はノザキのコーンビーフ

作り方

1.具材の準備
コーンビーフをボウルにあけて、ほぐしながら、黒胡椒で下味をつける(塩はコーンビーフについているので味をみながら調整する。黒胡椒は、結構多めでも良い)
ほうれん草などの葉野菜を冷水にさらして、水分をよく拭き取っておく。(お好みでスライス・オニオンを加えてもGOOD!)

2.パンをトーストして、下味をつける
トーストしたパンの片側に、まずバターをぬりその上に粒マスタードをぬります。

3.具材をパンにサンドして仕上げる。
ほうれん草を適当な大きさにちぎって、まず、トーストの上に、下味をつけたコーンビーフをのせ、その上にスライスオニオンをのせて、パンをサンドする。


あとは、食べやすい大きさに切り分ける。

これで、完成! かんたんですネ。

暑い夜だけではなく、快晴の日によく冷えた「ハイネケン・ビール」「コーンビーフ・サンドウィッチ」で昼酒なんて最高です!


ヘミングウェイも認めたコーンビーフとハイネケンの相性

他にも、小説に出てくるサンドウィッチはないのかな?といろいろ探してみると、出てきたんですね。

これは、コーンビーフをサンドウィッチで食べているのではないのですが、前途した、世界最高峰のアル中作家「アーネスト・ヘミングウェイ」の未完の遺作といわれる「海流のなかの島々(原題:Isands in the Stream)」のなかで、息子と一緒に釣りに出かける場面で、

朝食は狐色にいためたコーンビーフに卵一個、コーヒーにミルク、それに大コップ一杯の冷やしたグレープフルーツ・ジュース。ハドソンはコーヒーとジュースには手をつけず、コーンビーフいためを食べながら、よく冷えたハイネキンス・ビールを一本飲んだ。
「坊やたちのためにジュースは冷やしとこう」エディーが言う。
「朝早く飲むと利くだろう、そのビール?」
「なあエディー、人間飲んだくれになるのは造作ないことだな?」
「あんたは、駄目だよ。仕事が好きだから」
「しかし朝酒ってのは、実に良い気分だ」 
「違うねえ。特にそのビールなんかはこたえられねえ。」
「とはいうものの、朝酒と仕事と両立しない。」


「海流のなかの島々」ヘミングウェイ 新潮文庫 P151

ちなみに、ヘミングウェイが愛したカクテルにミントのハーブを入れる「モヒート」がありますが、ハイネケン・ビールにミントを入れても、よりクールにサッパリ感が出て、この季節にピッタリです。

こんなふうに、ヘミングウェイも認めた「コーンビーフ」と「ハイネケン・ビール」の相性の良さは抜群です。
ヘミングウェイは昼酒ではなく、朝酒でしたが、文章に書かれるようにつくると「そのビールなんかはこたえられねえ‼」とヘミングウェイでなくとも唸ってしまいます。

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