夏のIVY STYLEの欠かせないアイテムはこれだ!
少し前のことになるのですが、よく行く古着屋さんでデッキ・シューズが格安で出ていたので、懐かしさもあり、立て続けに購入しました。
夏のアイビー・スタイルのワードローブには、欠かせないアイテムとしてキャンバス素材のスニーカーはこれでした。
いまも昔も、キャンバス・スニーカーといえば、老若男女を問わず、コンバースのオールスターの1強です。スニーカーの原型ともいえるバスケット・シューズは、文武両道のクラスの人気者といった感じ。それに比べるとデッキ・シューズは、おとなしくて、あまり目立たない控えめな優等生。シンプルだけど、なんとなく上品でエスタブリッシュメントな香りがします。
今回買ったモノは、いずれもUNITED ARROWSのBEAUTY&YOUTHというブランドから出ていたものになります。もう生産されていないようです。
Made in Japanで、ソールは波型のいわゆる「スペリーソール」が使われています。このソールは、自らもセーラーであったポール・スペリーが凍った路上を走り回る愛犬の足裏からヒントを得て開発されたと言われています。また、伝統のバルカナイズ製法で作られたしっかりしたものになります。
ネイビーが26cm、ホワイトが27cmとサイズは1cm刻みだったようです。(ネイビーは少し小さめなのでシューレースなしで裸足で履いてもいいのかな)
なぜ、キャンバス・デッキ・シューズはエスタブリッシュメントな雰囲気あるのか?
古くは、アメリカの海軍兵学校のユニフォームに使われたり、J.F.ケネディがプライベートで愛用していた、東部の育ちのよい学生たちがいわゆるアイビー・リーガーの必需品でありました。
80年代に登場したプレッピースタイル。そのスタイルにも欠かせないカジュアルなアイテムとして、復活しました。
昔からのアイビー・スタイルの必需品ということもあり、海外ブランドだけではなく、日本でも古くからリーガル(日本製靴)やアサヒシューズ、月星化成といったメーカーから優れた商品が作られていました。
アイビーやプレッピー・スタイルの足元を支えた!
プレッピー・スタイルの源流であるアイビー・スタイルの時代からトラッド・マインドのあるスニーカーといえば、キャンバス・デッキ・シューズなのです。
革製のモカシンタイプのデッキ・シューズを革が剥げてクタクタになるのをショートパンツと合わせて履くのも、かっこいいのですが、今回は日本のアイビー・スタイルの足元を支えたキャンバス・デッキ・シューズを取り上げます。
やっぱり、デッキ・シューズは「トップ・サイダー」
やはり、デッキ・シューズといえば、トップサイダーのデッキ・シューズです。
その中でも、海を駆けるディンギーのマークでおなじみの「CVO」(CANVAS VULCANISED OXFORD)と呼ばれるSPERRY TOP-SIDERが代表格でしょう。古くはVANの時代から輸入されていたこのシューズは、当時、当然のごとくMADE IN USAであった訳ですね。このUSA製が、曲者でかなりワイズ(足幅)が狭かったのです。結構タイトな作りで、格好は良かったのですが、幅広甲高の日本人の足には合わなかったように思います。快適に履きたければ、2Size upで履かなければならなくて、なんとなくバカ足に見えてしまったものです。
しかしながら、アメリカの若き大統領がプレイベートで履いていたり、海軍兵学校のユニフォームに採用されたりと伝統のあるキャンバス・デッキ・シューズの「ジ・オリジナル」といえば、トップ・サイダー以外には存在しないでしょう。
東海岸の雄「Keds」のチャンピオンオックス
アイビースタイルを堅持した人たちの足元を飾ったスニーカーはトップ・サイダーだけではなく、当時、「西海岸のコンバース」に対して「東海岸のケッズ」と呼ばれて、東海岸を中心に人気があったのがケッズ。
その中で、当時でもクラシックなデザインのチャンピオンオックスが、おしゃれアイビー小僧のあいだで密かに人気でした。
ケッズのチャンピオンオックスはソールの形状から見て、正確にはデッキ・シューズではないと思われますが、アッパーの形が内羽根式のプレーントゥシューズに似ていて、アイビー愛好者に好まれたデザインのスニーカーでした。
トップ・サイダーほどソールに厚みがなくフラットなスタイルでシンプルなコーディネイトがしやすかった印象があります。そのシンプルさからメンズだけではなく、レディースのアイテム(どちらかといえば女性の需要が多かった?)として80年代以降にもブレークしました。
名門「リーガル」が70年代のスニーカー・ブームに耐えきれず作ったスニーカー?
70年代当時のリーガルといえば、コインローファーやデザートブーツが革靴がメインのメーカーだったように思います。VANやKentの服に合わせるのは、リーガルというのが当然のことでした。
しかし、70年代後半からファッションの傾向が、米国の東海岸のアイビー・リーガーから西海岸のUCLA、USC、UCバークレーなどのパシフィック10と呼ばれるようなカレッジ・ファッションへと移った時期です。
それまでのブレザーにボタンダウンというようなお硬いスタイルからダウンJKTにTシャツとジーンズの自由なスタイルに変わりました。
当然、多くの人の足元がローファーやデザートブーツなどの革靴からキャンバスやナイロン素材のカラフルなスニーカーなどに変わっていきました。
西海岸スタイルに変わっていった人たちはコンバースのオールスターやその当時なかなか輸入されていなかったナイキのナイロンコルテツなどを愛用するようになりました。
1975年には、リーガルからハイカットモデルの「ホッケー」ローカットモデルの「テニス」そしてデッキ・シューズタイプの「ヨット」が発売されました。中でもアイビースタイル愛好者は「ヨット」を好んで履いていたように思います。
1976年当時の雑誌「メンズ・クラブ」を調べてみるとトップ・サイダーの値段が¥5500、ケッズ・チャンピオンオックスが¥4800、リーガル・ヨットが¥3000で、他の国産メーカーが¥1500〜¥2500ぐらいです。(ちなみにコンバースのオールスターが¥6800でした、当然USA製ですが…)
プレッピーたちが支持するわけには理由があったんだ
おとなしくて、あまり目立たない控えめな優等生的なキャンバス・デッキ・シューズ。シンプルだけど、なんとなく上品でエスタブリッシュメントな香りがするのには理由があったんですね。
デザインはもちろんのことですが、生い立ちにも歴史の背景を感じられるからこそ、長いあいだプレッピーやアイビー・リーガーから支持され続けるのでしょう。
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