超有名で「無名性(匿名性)のデザイン」
「アノニマス・デザイン」とは
アノニマス・デザインと言う言葉をたまに耳にすることがありませんか?
アノニマスとは、「匿名性」というふうに訳されています。
普段、何気なく使っている製品で、特に意識していないが、使い勝手がよく、デザインを強調されていないところがデザインになっているようなモノたちのことをいうのではないかと思っています。
文房具でいえば、鉛筆なんかがそうではないかと思います。特に鉛筆のデザインを意識することはないですが、鉛筆といえば、6角形の柱状になったものを思い浮かべますよね。
円柱状になったものは、色鉛筆というイメージですし、たまに、3角形や4角形のものがありますが、鉛筆はやっぱり6角形です。
この6角形の形状には、意味があるようで、鉛筆は芯で文字を書いていきますが、使っていると芯がちびていきますよね、書く文字や線が太くなっていきます。それを鉛筆を回して持ち替えることで、線の太さを一定に保つことができるのです。そして丸ではなく、6角で面をつけることで一定で最適な角度で持ち替えることできるということなのです。
ほかに文房具でいえば、カッターやステップラー、セロテープのテープカッターなどデザインの意味を語ることはあまりないですが、普通に使って便利なモノたちです。誰もが思い浮かべることができる有名なデザインだけど、誰がつくったかなどと意識することのない匿名性なモノが、アノニマス・デザインなのです。
ですから、アノニマス・デザインは言い換えれば、「ロングライフ・デザイン」でもあるということです。
冬の季節に大活躍するどこの家庭にもある常備品
白い角張ったフォントが効いたアイコニックなお馴染みの青い缶。ニベアは、どこの家でも常備しているであろうスキンケアの名品で、どこの家庭にも1個か2個ぐらいはあるのではないでしょうか?
カテゴリーは、化粧品になりますが、子供から大人まで使って安心のスキンケア品ですよね。
誰もが、この丸い青地の缶に白い角張った書体を見れば、スキンケア・クリームとわかるデザインになっています。
では、このアノニマスなロングライフ・プロダクトについて調べてみましょう。
ニベアの歴史
ニベアの歴史は古く、いまからおよそ110年前の1811年、ドイツのハンブルグにあるバイヤスドルフ社の実業家で薬学者でもあった、オスカー・トロプロビッツ博士によって生み出されました。
1912年12月は、乾燥を防いで、潤いを守りどんな肌にも対応するスキンケア・クリームを発売。
市場で、またたく間に評判を呼び、デビュー3年後には、このドイツの港町から出荷された商品は世界34カ国で販売され、コペンハーゲン、ブエノスアイレス、メキシコ、ニューヨーク、パリ、モスクワ、シドニーで生産されるようになりました。
日本での販売
ドイツでの販売から約60年後の1968年に始まりました。高度経済成長期に入り、化粧品が一般家庭にも浸透していくタイミングで、買いやすい価格の「ニベア」が家庭で全身に使えるスキンケア・クリームとして日本人の嗜好にも合い多くの支持を獲得しました。
ニベアの由来
ラテン語のnix(雪)、nivis(雪の)といった単語に由来しているそうです。中身のスキン・クリームの見た目そのものを商品名として名付けということです。
ニベアのアイデンティティでもある青缶が登場するのは、1925年からで、フタに白抜きのロゴが入って現在の印象に近いものになりました。この変更により、“家庭の定番品”として、より一層定着していきました。
「ニベア」のアイデンティティ
写真のような青缶が登場するのは、1925年、フタに白抜きのロゴが入りました。ニベアブルーと呼ばれる青は「親密さ」「信頼」「調和」を表すカラーとしてCMYK、RGBの数値が決められています。そして白いブランド・ロゴは、読みやすい太字の活字体を使い、缶のなかに入っている白いクリームを象徴しています。
この変更により親しみやすい「家庭の定番」として、より一層、世界中に拡がりました。
「ニベア」のもうひとつのアイデンティティとしてその香りにあります。すずらんの花の香りをイメージして作られています。この香りに包まれると幼い頃にお母さんに守られていた安心感と親しみを思い出されます。
パッケージ・デザインをみれば、その商品が何か、ひと目でわかり、その香りまでもイメージできて感情に訴えてくる。これこそが、長い年月のあいだに熟成されたアノニマス・デザインといってよいのではないっでしょうか。
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