究極の『ロングライフデザイン・クロージング』 ボタンダウンシャツ編

ルール

ブルックス・ブラザーズ  ポロカラーシャツ

ブルックス・ブラザーズのポロカラーシャツ(ボタンダウンシャツ)

ひと言にボタンダウン・シャツ(以後、B/Dシャツ)といっても、ブランドによって、細かなディテールの違いがあり、それぞれのブランドによって特徴があります。

Brooks Brothers、J・Press、RALPH LAUREN、Paul Stewartといった老舗のアメリカン・トラッド・ブランドにとっては、B/Dシャツは大定番であり、創業以来、欠かしたことのアイテムだといっても過言ではないでしょう。

もうご存知の方も多いと思いますが、ボタンダウンシャツを生み出したブルックス・ブラザーズの超定番のB/Dシャツについて、すこしディテールをみてみましょう。

「ブルックス・ブラザーズ」 元祖B/Dシャツは呼び名は「ポロカラーシャツ」

名だたるアメリカン・トラッド・ブランドなかでも、創業が最も古いのがブルックス・ブラザーズで創業はなんと1818年。創業して200年を越える超老舗ブランドになります。

昨今は本場のアメリカで倒産騒ぎもありましたが、この度、2020年8月に米国のアパレル運営会社に買収されて新体制のもとで動き始めました。

新しくクリエーティブ・ディレクターには、ニューヨークの名門百貨店「バーグドルフ・グッドマン」や「ラルフ・ローレン」「ユニクロ」や「ガント」コラボなどでのファッション・ディレクターを経験してきたマイケル・バスティアンをむかえて、2021AWから新しい展開が始まります。

今後の展開が楽しみになって来ました。

ボタンダウンシャツの生み見出したB・B

B/Dシャツを生み出したのはブルックス・ブラザースです。1900年ごろ、ブルックス・ブラザースの創業者の孫であったジョン・ブルックスが英国のポロ競技を観戦しているときに、ポロの選手たちが、風でなびく襟をボタンで止めて、プレーをしていたのをヒントに生まれたのが、B/Dシャツです。

B・Bではポロカラーシャツと呼びます

それゆえに、ブルックス・ブラザーズでは、B/Dシャツのことを「ポロカラーシャツ」と呼ばれています。

頑なにMADE IN U.S.A.

ですから、この「ポロカラーシャツ」がつくられて、すでに100年以上の歴史があるのです。100年以上経ったいまでも、多少のマイナーチェンジはあったものの定番のシャツとして愛され続けられているのはブルックス・ブラザーズに絶大なる力があったおかげでしょう。

そして、特筆すべきは、この「ポロカラーシャツ」ついては、いまだに「Made in USA」を頑なに貫いている点でしょう。

究極のロング・ライフ・デザイン

アメリカ発祥の代表的な衣料といえば、誰もが知るところの5ポケット・ジーンズです。デザインの変えようがない、いわゆる“パーマネント・デザイン”と呼ばれる究極のデザインです。

ジーンズとしての原型ができたのが、1873年5月にリーバイ・ストラウスが“パテント・リベッテッド・クロージング”(新案特許・鋲打ち衣料)として、裁判所に特許申請したことが始まりとされています。

しかし、ジーンズが現在のような、5ポケット・ジーンズのデザインになったのは、それより後の1905年といわれており、先述したように、ジョン・ブルックスがポロカラーシャツを生み出しのが、1900年頃といわれているので、5ポケット・ジーンズよりも長い歴史があるかもしれない、これまた究極のロング・ライフ・デザインなのです。

それでも微妙に変化しているB/Dシャツ

このポロカラーシャツですが、1990年代ごろに大きなモデルチェンジがあったといわれています。
それまでのフロントのボタンが6個(襟元のボタンを含んで)から7個に変更されたというところです。
なぜ、ボタンが1個増えたぐらいで大きなモデルチェンジなのか?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、着用してみるとその違いがよくわかります。

第一ボタンと第二ボタンの間隔がかなり違います。1990年代以前のモデルのほうがこの間隔が広くとられています。これによって、第一ボタンを外したときの胸元の開き具合が変わり、ボタンダウン・カラーの特徴でもある襟のロールの具合に影響を与えるのです。

特にノーネクタイで着る場合の襟元の開き具合が深く、ブルックス・ブラザーズをよく知っている古着マニアのあいだでは「6ボタン」と言ってかなり評価が高いです。

『6ボタン』のその他の特徴としては身頃の幅やアームホールがゆったり目に作られています。80から90年代に作られた『6ボタン』はオーバーサイズなデザインで、基本的にシャツの裾はパンツに入れて着こなすので、当然、着丈も長い。シャツをボトム・インで着たときにきれいなブラウジングと言われるボリューム感が出るのです。

2021AWシーズンでは、この80〜90年代に作られていたシャツをもとにルーズなシルエットのビッグシャツ(ボタンは7ボタン仕様のようです)がリリースされています。

2001年からブルックス・ブラザーズのオーナーがイタリア人のクラウディオ・デル・ヴェッキオに変わり、ヨーロッパ調のよりモダナイズされたシルエットになりました。

また、2010年代ごろには、ややウエストをシェープさせた細身の「Slim Fit」ラインも作られています。

現在のブルックス・ブラザーズでも、「MADE in U.S.A」のポロカラーシャツは守られていて、呼び名が、ミラノ・フィット(スリムシルエット)とリージェント・フィット(リラックスシルエット)になっています。

ほかのデザイン的な特徴として、カフス部分にあります。
カフスと袖をつないでいる部分がギャザーによって取り付けられている点です。
多くのトラッド・ブランドはタックといってプリーツを折り込むように縫製するところが多いのです。タックを入れることによって、シルエットがスッキリとしてジャケットを着るときに袖口の収まりが良くなります。

カフスの取付け部分にギャザーと
剣ボロにボタンが付かない

ブルックス・ブラザーズのようにギャザーは、どちらかというとクラシックなデザインで袖からカフスにかけてボリューム感がでる感じになります。あくまで伝統的なスタイルを貫いているところが、ここにも表れています。

袖口でいうと、もう一つの特徴は、剣ボロと呼ばれる、袖を開くために設けられた短冊形のスリットに通常は短冊の真ん中あたりに1つ、留めボタンが付くものが多いのですが、ポロカラーシャツにはついていないのです。

こんな歴史があるポロカラーシャツは、新体制になったブルックス・ブラザーズでもずっと守り続けていってほしいものです。

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