これからの古着について(ニューヴィンテージについて)

最近、「ニュー・ヴィンテージ」という言葉をよく目にします。
生産されてから、100年ほど経過しているモノを「アンティーク」と呼ぶのに対して、そこまで年代物ではないけれど、価値のありそうなモノを表現する際に使われる言葉が「ヴィンテージ」。
さらに、その時代に作られていた現行モノを「レギュラー」という表現をされていました。
古着市場が、活発になった1980年代半ば〜1990年代で、当時でいえば30年〜70年代につくられたモノが「ヴィンテージ」というカテゴリーで、80年〜90年代付近に作られていたものは当然「レギュラー」ということになります。

時が流れて、現在(2020年代)では、80年〜90年代につくられたのモノは「ヴィンテージ」と呼ばれるようになって来ました。
ですが、ここで1980年代当時と大きく変わってきているのが「生産国」です。
1980年代以降、世界各地で生産のグローバル化が進み、先進国の大企業は、コストの安い途上国に工場をどんどん移転していきました。
アパレル産業に関しても例外ではなく、ブランド・バリューのある老舗メーカー(特に米国のブランド)は海外にどんどん進出していきました。
そして、60年代後半以降に誕生した「ラルフ・ローレン」や「NIKE」いったブランドについては、いまや、ほぼ米国製はないに等しい。デザインは米国でしているけど生産については多国籍「それでもナイキはナイキ」もう生産国なんて意識することもなく売れ続けている。

そんな生産国にまではこだわらないが、80年〜90年代につくられた米国やフランスなどのブランドのモノなんかも「ニュー・ヴィンテージ」と呼んでいるようです。
古着の価値が二極分化
近頃では、「チャンピオン」のリバースウィーブが高騰して、米国製のモノをアンダー1万円で見つけるのが困難な状況になっています。
古くは、「Levi’s501」のUsed品が1982年当時、アメ横で3800円で売られていたものが、1997年には、「ビンテージ」の名のもとに100万円を超える値段がつきました。
2001年ごろにアメリカ工場を閉鎖した「コンバース・ALL STAR」はその後、徐々に価格が高騰していき、いまでは60年〜70年代に作られたモデルは10万円を超える値段がついていたりします。

そのほかにも、「VANS」「PENDLETON」、アメリカモノではないですが、「クラークス」「LACOSTE」(ラコステについては、日本企画などでフランス製は存在しますが)などの多くのブランドが、発祥の地を離れて、生産の最適地を求めて、生産コストの安い東南アジアや南米などの工場に移転していきました。
当然のことながら、オリジナル(ブランド発祥の生産国製)は、どんどん失くなっていき、途方も無いプレミアム価格になってしまいます。
供給量が減れば、需要のある限り価格は上がり続ける市場の原理が働きます。
どうせ着るなら、これから価値がでる古着を所有したい
せっかく、古着を買うなら、自分にあったモノをチョイスするのは当然です。
大前提には自分に合う(サイズ・色・デザイン・素材など)こと。これは、普通に服を買うときと同じです。そのうえで、後々に、リセールバリューが上がれば、なお嬉しいですよね。
ここではそんな古着選びで大切な3つの”こだわり”を書いていきましょう。
古着選びのたいせつな3つの”こだわり”
リセールバリューがあがる3つのこだわりは以下の3点です。
①生産国にこだわる
②ブランドにこだわる
③ディテールにこだわる
①生産国にこだわる
これは,前にも述べたように、生産地のグローバル化が進み、ブランドが生まれた国で生産されるということが、段々減ってきています。
ヨーロッパのラグジュアリーブランドでは、自国の生産にこだわってつくっていますが、それでさえ作っているところはかなり曖昧です。
「Levi’s」「Champion」「LACOSTE」などブランドは、セレクトショップの要望やブランド価値の再構築などで、自国の生産に価値があることを気づいているブランドもありますが、全体の傾向としては、コストの安い国にシフトしてます。
特に「Tシャツ」はここのところリセール価格が高騰しているので、Made in USAのタグのついているものは、ゲットしておきたいところです。
「こんなボロボロのTシャツが、この値段で売れるの?」ということがあります。
②ブランドにこだわる
これも先の述べていますが、「RALPH LAUREN」「NIKE」など元からグローバル企業で、自国で生産など行なっていないブランドですが、生産国などにこだわる必要はなく、ブランドを信頼して買うべきです。
当然「RALPH LAUREN」は狙い目No.1なんですが、「RALPH LAUREN」の場合はブランドが細分化されていて、人気があるのは「RRL」や「POLO by Ralph Lauren」「Polo Country」などで、タグネーム違いで製造された年代が判り、マニアの間ではそういった目利きをする人もいます。
今後、人気が出てきそうなブランドとしては「GAP」が挙げられたりしていますが、弾数(生産数)が多いので、そこまで人気があがるか不確定な感じがします。
同じアメカジブランドでも「J.Crew」というブランドのほうが人気が出そうな気がします。
理由として、アメカジブランドの中でも、プレッピーなスタイルを続けていて、そこそこの歴史を持ちながら、2010年ごろにはセレクトショップ的な形態で「New Balance」「Belstaff」などのブランドとコラボなどもしていました。残念ながら2020年5月の破産申請をしていましたが、営業は続けています。

日本人好みのスタイルは好感度が高く、そして今後は弾数(生産数)が減ってくるので、ここも市場の原理が働きそうです。
新しい情報では、新生「J.Crew」のメンズ・チーフ・デザイナーに「NOAH」のブレンドン・バベンジン氏が就任することが発表されました。ちなみに、ブレンドン・バベンジン氏とは、米国ニューヨーク州ロングアイランド出身で、「Supreme」のクリエイティブ・デレクターを努め、2015年から「NOAH」を立ち上げた人物です。
これによって「J.Crew」新しいアイテムにも、過去のアイテムにも注目が集まるのではないでしょうか。
③ディテールにこだわる
最後に服の細部にこだわることが大切です。素材であったり、デザインであったり、縫製であったり、とにかく日本人はディテールにこだわります。
そのもとになっているサープラスモノ(軍モノ)は、古い年代物でなくても軍モノは手に入れておいて損はないでしょう。そもそも軍モノはお国のために働いてもらう人のために国の威信をかけて生産されているものなので、軍モノをまねてレプリカをつくったら価格が何万円のしてしまったということがよくあります。(ジーンズなども同じですね)
なので、特に米軍やユーロモノのサープラスを見つけたらゲットしておきたいです。
以上3つのポイントを押さえれば、古着選びが楽しくなってきます。
また、機会があれば、この3つの”こだわり”について詳しく説明していきます。
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