やっぱ!「A LONG VACATION」大滝詠一でしょっ‼
「無人島の孤独」に耐えられる1枚とは
昔、何かの雑誌の特集で日本の有名人50人に「もし、無人島に1枚だけレコードを持っていけるとしたら?」というQ&Aがあり、ザ・ビートルズの「アビー・ロード」やボブ・マーリーの「ラスタマン・ヴァイブレーション」、ザ・バンドの「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」、ビーチ・ボーイズの「ペット・サウンド」などが上がる中で、大滝詠一師匠の「ロング・バケーション」を3人ぐらいの人が押していました。
「無人島」は常夏のイメージ
なるほど、無人島といえば、南太平洋あたりの常夏の島のイメージがありますよね。
まず、大西洋と北海に挟まれたシェットランド諸島のような極寒の無人島を思い浮かべる人は中々いないでしょう。
そういう意味で、この「ロング・バケーション」は「長い休暇」を常夏の島で1枚だけ聴くにあたっては、たった10曲ではあるけれど、多彩なメロディーラインと「喜・怒・哀・楽」のすべてのエッセンスが詰まった情景のあふれる歌詞、一枚だけでも十分に孤独に耐えられるアルバムであると思います。
再び、脚光を浴びる大滝サウンド
アルバムをリリースして、40周年が過ぎ、記念盤が発売されたり、映画やTV、雑誌、音楽配信の解禁など、最近多くのメディアで取り上げられて、再び、脚光を浴びているようです。(再評価という言葉は少し違うとおもうのですが、ずっと前から評価の高い人ですから)
その中でも、日本のポップスの金字塔的なアルバムが、この「ロング・バケーション」あることは、間違いのない事実でありましょう。
1981年3月21日にナイアガラ・レーベル(大滝氏のプライベート・レーベル。ちなみにレーベル名は大滝=大きな滝=ナイアガラから来ている)からリリースされた。自身のソロ・アルバムとしては5枚目のアルバムで、このとき、同時に発売されたCDが、日本で初めての商業用CDのリリースになったことも有名です。
「ジャパニーズ・シティ・ポップ」珠玉の一枚
伝説のバンド「はっぴいえんど」からの盟友、松本隆氏を迎い入れて、どストレートの売れるアルバムを作りたいと制作したのが、「ロング・バケーション」だったそうです。
そうして、できあがったアルバムの収録曲10曲のうち9曲が、松本隆氏の作詞によるものでした。
この松本隆氏の作詞がなければ、このアルバムはここまで高い評価を受けなかったでしょう。
大滝氏が敬愛したフィル・スペクターを彷彿とさせる「ウォール・オブ・サウンド」を駆使した完璧なメロディー・ラインに、情景が溢れるパーフェクトな歌詞が重なり、これまでのCMソングライターとしての大滝詠一のイメージを一新したことは間違い。
そして、永井博氏が描く永遠の夏を感じさせる「誰もいないプールサイド」の絵が絡まり、奇跡の1枚ができあがりました。この時代でなければ、絶対、表現できなかったメロディーとビジュアル。これは決してCDでは伝わることがなかった。やはり、LPレコードだからこそできたのではないかと思います。
「A LONG VACATON」
1.君は天然色
2.Velvet Motel
3.カナリア諸島にて
4.Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語
5.我が心のピンボール
6.雨のウェンズディ
7.スピーチ・バルーン
8.恋するカレン
9.FUN×4
10.さらばシベリア鉄
40年たったいまも、飽きることも、古びることもなく、いまだにヘビー・ローテーションで聴くことができる珠玉のアルバムです。
それでは、無人島に行ってきます。
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