ポロシャツのマスターピースとしての『ラコステ』6つのディテール

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カジュアルウェアのルーツは『スポーツウェア』

スポーツウェアから街着に進化した服飾品は多いです。いまはアウトドア・ウェアがカジュアル・ウェアとして、街でガンガン着られ、メインストリームになっていますが、それまではとりわけ「テニスウェア」がその代表格でありました。

英国発祥のスポーツ、「テニス」は、貴族のスポーツとして親しまれ、歴史も深く、トラディナル・スポーツとして世界に拡がっていきました。同じ英国発祥の「ゴルフ」と同様に厳格なソサエティーが存在していて、もちろんクラブハウスでは、ジャケットを着用しなければならないなどウェアにも着用のルールがありました。
1970年代初め頃まで英国・ウインブルドンで行われる大会は、競技用ウェアを「白1色」と決められていました。

プレイヤーの名前を冠したスポーツ・ウェア

そして、面白いことに「テニス・ウェア」は、活躍した選手が着用したウェア類が、そのままネーミングとして残っているケースが多いのです。古くは、セーターで有名なチルデンは、1920年代に活躍した米国の名テニス・プレーヤーのウイリアム・チルデンが着たことによります。
元々この服は、クリケットの競技用として重用されていたニットベストをテニスに流用したものと考えらています。

スニーカーでは、何と言っても「スタン・スミス」。オリジナルは白を基調にグリーンの配色を施し、アディダス社のアイコンである「3ストライプ」を通気穴で表現するなど、あくまでミニマムでシンプルなデザイン。
元は、1965年に発売された「ハイレット」というモデル(この名前もテニス・プレーヤーの名前からきている)を往年の名プレーヤーのスタン・スミス氏が、好んで着用したことから1973年に「スタン・スミス」という名で登場。以来、世界で一番売れたスニーカーとしてギネスにも認定されています。

プレーヤーの名を冠したテニス
シューズ「スタン・スミス」

その他にも、名前は冠されていないですが、ジョン・マッケンローが、最初に履いたと言われる「エアー・トレーナー」やビヨルン・ボルグが着ていた「フィラ」の配色がかっこいいテニス・ウェアなど現代まで通じるカジュアル・ウェアの名品がたくさんあります。

いつの時代も世界中で愛されるポロシャツの代表格

その中でも、ひときわ世界中の多くの人に愛用されているテニス・ウェアといえば「ポロシャツ」。
そして代表格が、ポロシャツといえば、誰もが思い浮かべるであろう名品。ワニのアイコンがついた「ラコステ」でしょう。

1920年代のフランスを代表する世界的なテニス・プレーヤーであったルネ・ラコステ氏は、当時のテニス・ウェアに大変不満を持っていました。

紳士のスポーツであったテニスは、白い布帛のレギュラー・カラーのシャツに白いロング・スラックスという出立ちでプレイをしていました。それは汗をかくと、とても動きにくく不快なものでした。常々、ルネ氏は汗を吸わない布帛のシャツに変わるものはないかと考えていました。

テニスウェアなのに、なぜ「ポロシャツ」?

ルネ氏は、ポロ競技の選手が着ていた半袖の衿なしのシャツを参考に、鹿の子編みのニット素材に衿をつけたシャツを開発しました。(テニスウェアから始まったのに「ポロシャツ」と呼ばれのにはこんな経緯があったのです。)
こうして、1933年に世界中で愛されるテニス・ウェア「ポロシャツ」の原型が世に出ました。
余談ですが、欧米ではポロシャツのことを「ラコステ」と呼ぶそうです。

自分の名を冠したポロシャツ「ラコステ」には、その特徴である胸に縫い付けられたワンポイントの「ワニ」が、すでについていました。ブランド誕生当時からのアイコンだったのです。

超有名なブランド・アイコン

これは、ルネ氏の現役時代のプレイスタイルが、ワニのように一度、相手に食らいついたら離さないことに由来しています。(また、異説として、当時のフランス・チームのキャプテンが「試合に勝ったらワニ革のスーツケースをあげよう」とルネ氏にいったとも)

永遠の定番「L.12.12」

永遠のスタンダード・アイテム「ラコステ」のポロシャツですが、様々なデザインが出されています。その中でもとりわけ、マスター・ピースといわれるのが、「L.12.12」と呼ばれるモデルです。

マスター・ピースの語源

最初の文字の「L」はラコステの頭文字の「L」、次の「1」は鹿の子編みの素材を意味し、「2」は半袖であることを示すそうです。そして後ろの12はこの製品を完成させるためにつくった試作品が12回であったことから「L.12.12」と呼ばれる様になりました。

 マスター・ピースであるための6つ秘密

1.鹿の子編みの素材は、ポロシャツの顔。

ポロシャツといえば、その素材感にあります。スムース素材やジャージー素材などで作られているものもありますが、やっぱりポロシャツといえば、鹿の子編みの素材です。
糸を蜂の巣のように交互に編んで、表面に凹凸を作ります。海外ではピケ編みとも呼ばれており、吸汗性に優れて、風通しがよく、伸縮性もあるこの素材が、テニスなどのスポーツ・ウェアにすぐに広まったのは云うまでもないことです。欧米では、この鹿の子編みのことを「ラコステ」と称して呼んでいるそうです。

2.きれいな衿開きを保つための前立て

ボタンを外しても、きれいなシルエットを保つための工夫として、上前立てと下前立てを2ミリほどずらすことで、立体的でシワがつきにくく、エレガントな印象を与えています。

3.いつまでも鮮やかな色をキープする染色技術

色褪せない70年代ごろの古着のラコステ

ラコステのポロシャツは洗濯を繰り返しても、色あせがしにくい、きれいなカラーを長い間キープします。特に、洗濯を繰り返すことで見られる、衿とボディーの色の退色具合が違ってくることが少ないのも特徴です。長期間、着ても古さを感じさせないのは、このあたりに秘密があるのでしょう。

4.”コットンの王様”を使った素材

ラコステに使われている原材料は、”キング・オブ・コットン”と呼ばれるスーピマ・コットンです。
35ミリ以上の超長綿で、シルクのような光沢と肌触りのよい柔らかな風合い、そして吸湿性や耐久性にも優れています。

5.動きやすさと美しさを兼ね備えたミニマム・デザイン

ちっさなサイドスリットもデザインアイコン

サイドのスリットは裾の身返しの半分だけ逆V字に開いた仕様になっています。下半身の動きを妨げない工夫と美しいシルエットを重視した、ラコステ独自のミニマム・デザインです。

6.多彩なカラーバリエーションが魅力

多彩なカラ・バリ

歴史あるパーマネント・デザインであるがゆえ、ペールトーン、ダークトーン、ビビットカラーまで多彩なカラーが揃っています。常時、16〜18色のカラーがあり、必ず自分に合うカラーが選べます。また、その日の気分に合わせて、色んなカラーを揃えることができるもの歴史ある”マスターピース”であるがゆえでしょう。

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