バミューダショーツを知ってますか?
ここ数年の気候変動のおかげで、真夏のお昼に野外にでることに危険を感じることが多くなりました。
気温も体温以上になる日が珍しくなくなり、また、日本独特の湿度の高さには耐えられない状況にあります。
先日も所用で朝から電車に乗って街なかにでることがあったのですが、クール・ビズ・スタイルが浸透して、ノーネクタイに半袖シャツ・スタイルのサラリーマンがほとんどでしたが、中には、スーツにタイドアップされた紳士も見受けられました。
ジェントルマンスタイルで「頑張っているな〜」と思うのですが、汗をダラダラかいて、なんかシャツやパンツがくたびれたように見えるのは、傍からみていてあまりカッコがいいとはいえないかなと思ってしまいます
それほど近年の日本の夏(日本だけでもなさそうですが…)は、異常だと思います。
英語で“Cool”とは冷たいとか涼しいという意味ですが、他にも“カッコイイ”という意味がありますよね。この季節に涼しげにみせることが、格好いいことになるのでしょう。
快適なスタイルをするために必要なアイテム
ということで、やはり快適なスタイルで移動されるほうが、ここはカッコイイと思います。
いまでは、夏の必須アイテムとして誰でも1本は持っているであろうショートパンツいわゆる「短パン」。
この季節に「短パン」をはくことは、カジュアルなスタイルでは当たり前で、休みの日などのオフスタイルはずっと短パン族になって過ごすという方が多いのではないでしょうか。
しかしながら、オンスタイルでは、なかなかむずかしいですよね。それでも、周りの人とはちょっと違うサマー・スタイルというのが、英国には存在するのです。
そのカッコイイ夏スタイルをつくる「バミューダ・ショーツ」を知っていますか?
「バミューダ・ショーツ」とは
膝丈前後(4〜6)丈でやや細身のトラウザー(ズボン)のことを指します。 簡単にいえば、「丈の長めの短パン」のことです。発祥はイギリス領バミューダ諸島で広く着用されたことから、この名前がついたとのことです。(文献引用:ウィキペディア)
一般的には、膝上までしか丈がない短いズボン(ショートパンツ)とは明確に区別されますが、丈の長さについて膝がほぼ隠れるものから腿の中間まで見えるものまで千差万別あり、特別な規定はないともいわれています。
私がもつ「バミューダ・ショーツ」のイメージは丈の長さは膝が隠れる長さで、ロングソックスを着用してコインローファーなどのモカシン・タイプの革靴を合わせるみゆき族(古っる)に代表される夏のアイビー・スタイルなんです。
ここ最近は、「バミューダ・ショーツ」という呼び方をきくことがなかったのですが、同じ英国発祥の「グルカ・ショーツ」が注目されることで「バミューダ・ショーツ」という呼称も復活してきました。
まあ、それにショートパンツというより、「バミューダ・ショーツ」とか「バミューダ・パンツ」といったほうが、リゾート感があってカッコイイじゃないですか。
ショーツ・スタイルが正装
ハワイの「アロハ・シャツ」と同じようにバミューダ諸島では、公式の場(仕事場やパーティーなど)において着用が許されていて正装と同じ扱いになるようです。
正装の場合は、脛が隠れるように膝下までのバミューダ・ホースと呼ばれるロングソックスを着用しなければならない。(余談ですが、いまでも名門といわれるゴルフ場では、ショートパンツ着用するときはロングソックスの着用を求められます)
バミューダ諸島では、ハワイの「アロハ・シャツ」と同様に、ずうっと昔からショーツを履くというのは生活の一部になっています。
そして、バミューダ諸島では昔からショーツをコーデイネイトするときの鉄則というのがあって、「上着」の色に「ソックス」の色を合わすとコーディがまとまるということです。
アイビールックのコーデイネイトの鉄則の「ベルト」の色と「靴」の色を合わせるというのに通じるところがありますね。
本場のバミューダ・コーデイネイト
一時期、日本では「クール・ビズ」ということで、半袖のテーラド・ジャケットを着る政治家も現れましたが、これは滑稽でしかなかったです。
ということで、欧米では、テーラードジャケットにショーツを合わせるスタイルがリゾート地などでは一般的。結婚式でもこのスタイルです。浜辺でスワローテール(燕尾服)は考えるだけでも暑苦しいです。
リゾート地らしくボトムはパステルカラーのショーツが多いようですが、いい感じです。
なぜ?ジャケット&ショーツの組み合わせができたのか
ちょっと私見になりますが、英国(厳密にいえば、スコットランド)では、男性の正装として、キルトをはく伝統があります。
キルトとは、スコットランドでは、日本の家紋に相当するタータンという格子柄の生地を各家系によって所有しています。この生地をプリーツ状に縫って巻きスカートのようにした装束をキルトといいます。(日本でいうところの羽織と袴のようなモノ)
これによって、英国の文化圏では膝が見える短いボトムの上にタイドアップするスタイルを厭わないのではないでしょうか?「むかしの熱帯地域の英国領から広まったスタイルなのでは?」と推測します。
合理的な米国人では、こんなスタイルは絶対に考えられないでしょう。
都会の「バミューダ・スタイル」
ジャケット&ショーツの大御所といえば、トム・ブラウンです。
RALPH LAURENのブランド「CLUB MONACO」のデザイナーとしてデビューして以来、2001年に自身のブランドを設立、2007年には、Brooks Brothersとのコラボブランド「Black Fleece by Brooks Brothers」を立ち上げました(2015年閉鎖)。
ここ10年間でメンズのスタイリングをいい意味でも悪い意味でも変えてしまったのは、この人です。
御大の着こなしの中でも、代表格のスタイリング、ジャケット&ショーツ・スタイル。これをアップデイトし都会風にアレンジして、世間に広めたのは彼の功績ではないでしょうか。
トラディショナル・スタイルの基本は抑えつつ、トム・ブラウン自身が「ルールに反することは美しい」といっているように既成のスタイリングに対しての反抗が適確に伝わってくるスタイルです。
日本では、元々、「短パン=子供っぽい」というイメージがあるうえに、ブレザー+ショートパンツは、まるで「七五三」スタイル。なかなか日本では広まることはなさそうですが、これで通勤電車に乗れば、注目されること請け合いなんですがね。
このような「七五三」スタイルをあえて打ち破って、夏の通勤スタイルに定着することができれば、日本人の価値観が、少し変わって面白くなるのにな。とおもうこの頃です。
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