ミナ ペルホネン/皆川明 つづく展を見て感じたこと
ミナ・ペルホネン/皆川明 つづく展を見に行ってきました。
展示会を見に行くためには、インターネットで日時を指定する事前予約制になっています。 当日は土曜日ということもあって、午後1時の予約を取ったのですが、まずまずの人出がありました。
会場は、ミナ・ペルホネンのものづくりを自然界に例えて、各章(各ブースを実、森、芽、風、根、種、土、空)に名前をつけられています。 ミナ・ペルホネンのこれまでの活動の要素をその名称の意味合いと重ねながら鑑賞できるようになっています。
時代を分け隔てなく普遍の価値を持つ服づくり ミナの哲学
入口には、ミナ・ペルホネンの特徴であるファッションの流行にとらわれないものづくりをしてきた証しとしての25年分のテキスタイルの集積が壁となって迎えています。
短いサイクルで大量消費されていく服に背を向け、シーズンを超えて長く繰り返し愛用してもらえる(素材である生地からデザインを施して、洋服に仕立てる)まっとうな服作り。デザイナーというよりは職人(アルティザン)的なものづくりには尊敬に値するものです。
すべては「情熱」から始まる物語
1995年に「ミナ」のブランドを立ち上げるまでには、魚屋で働いたり、立ち上げ後は「せめて100年つづくブランドに」という思い込める、その「つづく」というコンセプトの中で、高齢の店員さんを雇ったり、衣服だけに限らず、インテリアや食器などの生活全般へと広げるブレない「歩み」の根底には、「情熱」「粘り強さ」「長期的な目標」というまさしく「グリット(やり抜く力)」の要素が入っていると強く感じました。
この展覧会では、「つづく」というタイトルで文字通りブランドの時間的な継続性を示しています。 つながる、連ねる、手を組む、循環するなど、モノや人が連鎖して生み出していく生成のエネルギーを感じさせます。
しかし、業界の人間ならわかることだと思いますが、「つづく」ということがなかなかできないことなのです。売れているあいだは、神様扱いですが、少しでも売上が落ちれば、「売れ筋を作れ」とか「在庫処理のためのセールをしろ」とか要求が強くなります。(当然一緒にやっているスタッフにも生活がかかっています)そんなことを少しでも受け入れてしまえば、ブランドはブレていってしまいます。
「つづく」(やり続けるための3つの要素情熱・粘り強さ・長期的な目標)
ファッション業界という急激な流れの中で渦に飲み込まれることなく、25年間の「物語」を蓄積できるエネルギーには、「情熱」「粘り強さ」「長期的な目標」のグリットの3つの要素がなければ、成し遂げることはできないでしょう。
生地や衣服、インテリア、食器等のプロダクトに加えて、デザインの原画、映像、印刷物、皆川明の挿絵の創作活動などミナペルホネンと皆川明のものづくりと思考はこれからもまだまだ「つづく」ことでしょう。
コメント